前回に続いて森本浩司君の想造昆虫の話だ。
もう一匹『ジャノメタテハカブト』を紹介しよう。彼自身も、この作品が一番よくできていると言っている(写真1)。※写真は拡大して記事と合わせて読んで下さい。
これなども一見すると、本当にこんな新種がいると思ってしまうほどの完成度なのだ。そして彼は、この
『ジャノメカブト』を「想造昆虫」の中でこう説明している。
「このトサカには目玉模様があり、威嚇や求愛行動に役立つ。カブトムシには珍しくツノがない。これは好戦的ではない大人しい性格を表している。その反面、繁殖力に長けており大量発生した年には樹液に集まる数多くの個体を見ることができる〜等々」まだまだ文章は続くのだが、この想像力には脱帽する。写真2でトサカのアップと爪の細かい仕事も見て欲しい。
最後に、彼が在学中に作った指輪を紹介しよう(写真3)。炭に留めてある指輪だが、やはり昆虫をイメージしている。足の部分が指にはめる部分となっている。その顔の部分が写真4だ。顕微鏡のレンズをイメージしている。そのレンズで写した画面は背面で見られる(写真5)。画面の中に黄色い石が見えている。左右の突起はピント調節のダイヤルだ。彼らしいユニークな作品だ。
前にも書いたが、小学1年生の頃から紙とテープで飽きずにフィギュアをつくっていたそうだ。ゴジラ等をつくっていたが、やがて、彼独自のキャラクターを何体もつくって遊んでいたという。彼みたいな腕を持った学生が一年に1人か2人、毎年入ってくる。もちろん先生を凌ぐほどの腕前で、ただ感心するのみという学生だ。彼は私にこう言ったことがある。「私はものづくりでしか生きていけません。だから生活が厳しいこともわかっています。」
彼は今、栃木県真岡の商店街に住んでいる。市が商店街の空き家を借り上げ、アーティストに割安で貸しているのだ。私も「えらいなぁ」と思っている。
http://hanamuguri.info/
ここに楽しいブログが綴ってある。みなさんも彼を応援してあげて欲しい。