前回に引き続きウリの作品を見ていこう。
写真1(写真は拡大して記事と合わせて読んで下さい)は金でつくった釘風の爪で、プラスチックのリングにアルマンダイン・ガーネットを留めている。この金の釘の先の処理が面白い。リング部に穴を開け、そこに通した釘の先を外側に曲げてデザインのメインとしている(写真2)。
プラスチックのこんな狭い部分に穴を開け、外側に曲げてよくプラスチックが割れないと思う。恐らく大分失敗しているのではないかなと想像する。
写真3はやはり石を金の釘で留めている。この釘の先を裏に引っ張ってきて、デザインの一部としている(写真4)。リング部はシルバーだ。
写真5で内側の形を見て欲しい。この一つひとつのピラミッド型を削り出すのは大変なことだ。だから、これはコンピューターデザインで原型をつくっている。彼のカタログによると、同型のリングを銀、金、プラスチックでオーダーをうける、と書いてある。コンピューターでつくれるからだ。だからこのリングの表面の一つひとつの四角の表面を見ると、平らにツルツルでなく、ひっかいたような線状の跡があり、また中央に小さな四角の形を残している。
写真6でアップも見て欲しい。線状の跡は、コンピューター原型の跡、四角の跡は湯道だ。
さて、今回は彼に接した本校講師にそのエピソードを語ってもらおう。
先日、初めての大阪ということで彼に英語の地図や有名観光スポットの資料を用意し紹介したのですが、結局彼はそのどこにも行きませんでした。ちょうど関西地方に台風が上陸しており、それが理由なのかと思いきや、彼は暴風雨の中、大阪の小さな商店街や住宅街を練り歩き、ローカルな大阪の町の雰囲気を一日かけて堪能していたそうです。中でもそこで見かけた小さなお寺で、偶然お葬式が行われており、時間が過ぎるのを忘れてしまう程その静謐なセレモニーに見入ってしまったそう。
『有名な観光スポットはネットで何度も見ちゃったから、もう十分!!』と言う彼の言葉がとても印象的でした。 大阪校講師 松尾 秀司
|
|
|
<写真1> |
|
|
<写真2> |
|
|
<写真3> |
|
|
<写真4> |
|
|
<写真5> |
|
|
<写真6> |
|