日本の塔の美しさはその軒の反り具合にあると言われている。写真2は薬師寺東塔(奈良時代に建ててそのまま現代に残っている三重の塔)だがその軒の反り具合は建てた時の美しさだけでなく、数百年経って反りが下がってきても美しい形を保つように考えて宮大工の人々は仕事をしているといわれている。
もちろん、この百万塔の全体的なバランスも美しいし、胡粉を塗って白く仕上げたところもよい。そういうビジュアル的な見方に加えて世界最古の印刷物(経文)が入っていることや、ろくろの仕事で量産物をつくった歴史や、聖武天皇を初めとする当時の政治的背景も加わってくる。
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