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第74号 「山(やま)サンゴというジュエリー」

サンゴがヒマラヤでとれるというとビックリする人は多いだろう。でも、本当なのだ。ヒマラヤ山脈はアジア大陸にインド大陸が漂着(といってもマグマの上にのって)、衝突した時にできた山々だということはもう常識となっている。だから、ヒマラヤのインド側は太古海岸だった。それが証拠に私がインド北部のカシミール地方にいった時、地表で貝殻を拾ってびっくりしたことがある。それが写真1(拡大して見て下さい)だ。

しかし、その後フランス・プロヴァンス地方を旅行したとき、セザンヌの絵で有名なサント・ビクトワールの麓でも大量の貝が露出しているのを見て(当時ここは海だった) 世界にはそういった土地のあることを納得してしまった。この英名マウンテン・コーラル(mountain coral)はそういうわけでヒマラヤ山麓の国とチベット、ブータン、ネパールではとても重要なジュエリーとなっている。

もうひとつ、写真2のネックレスは私がブータンを訪れたときに参考に購入したものだが、一番大きい円筒形のサンゴのパーツで直径3cmもある。これで、日本円で5万円位だったが、現地の都会の平均収入を月1万円とすれば、5ヶ月分となる。日本での財産価値は1ヶ月月給30万円とすれば150万円のネックレスとなる。もちろん家宝となり、代々伝えられていく。ブータンには、有名なツェチュという祭りがあり、その時には皆が一張羅を着て集まってくるのだが、写真3(これは拡大してネックレスを見て下さい)はその祭りの舞台で踊っている女の人が身につけているネックレスであり、写真4はそれを見ている観客の女の子が身につけているものだ。いずれも家宝クラスのジュエリーだ。

サンゴの偽物で多いのはガラスだ。硬度は珊瑚が4度、ガラスが5度なので、歯で噛んでみるとガラスの方が硬いのでわかりやすい。店の人には嫌われるが目で見るよりはるかに正確だ。キズや年輪があればサンゴとみてもよい。もっと厄介なのは竹サンゴと呼ばれるものだ。海底に竹のように生えていて緑色をしている。これを赤く染めると、なかなか見分けにくい偽のサンゴとなる。その例が写真5だ。これは持ってみるとサンゴより重い。


10/3/26


(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)

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写真1
写真1


写真2
写真2

写真3
写真3

写真4
写真4

写真5
写真5

















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