今回は、唯一国宝に指定されている金製の指輪を紹介しよう。
福岡県宗像市にある宗像大社(神社という名でないことに注目)の神宝館に展示されている金製指輪(写真1 *宗像大社所蔵)だ。この指輪は、海の正倉院といわれる玄界灘にある沖ノ島で発見された約8万点にも及ぶ国宝のうちの一つだ。ちなみに、現在全国の文化財指定は、件数で国宝が1,078件、重要文化財が12,701件ある。(点数ではなく、この沖ノ島の国宝のように1件に多数含まれているものもある)
さて、写真を見ながらデザインを見ていこう。デザイン的にはそんなに複雑ではないが、中央が菱形になっていて、その中や外に円形の線がロー付けされ花模様のように見える。線であることは、円の一つを見ると、切れている箇所があるのでわかる。また、上下の縁には、縄目線がロー付けされていて、縄目の内側の際(きわ)は、タガネを打っている跡がある。
また、リングのサイズは内径約18mm(16号)、大きさからみても男性用とわかる。
これは朝鮮半島の新羅(しらぎ)で作られた純金製の指輪で、同じような指輪が韓国で発見されているが、いずれも王の墓から出土している。この指輪も王のもので、日本、韓国でも数例(2〜4点)しかない。
私は2009年夏に初めてこの指輪に対面したが、30年以上前から直接見たいと思っていたので感激だった。宗像大社の神宝館に常時飾られているので、福岡に行かれたら、ジュエリー関係の人は是非見て欲しい。
福岡空港からは、電車・バスを乗り継いで約1時間20分かかる。行き方は下記の宗像大社ホームページで確認して欲しい。
宗像大社ホームページはコチラ
09/12/22
写真提供:宗像大社 金製指輪(沖ノ島祭祀遺跡出土 国宝)
(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)
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