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第68号 「始祖鳥 その3」

さて、今回で始祖鳥も第3回になります。始祖鳥の写真や話は、みなさんも小学校や中学校で一度は聞いたことがあると思いますが、まだまだ興味深い点がありますので、今回はそこに触れてみましょう。

写真1の四角く囲ったところをよく見て下さい。この骨は恐竜で言えば前足ですが、その左横に刷毛で掃いたような跡があります。これが翼の羽根です。ここに羽根が生えていなかったら、完全にこれは恐竜の前足の写真ですね。
これではっきりわかるように、現在の鳥類の翼の骨は、前足が変化したものだ、という説に納得がいきます。

ところで、写真2を見て下さい。これは写真1の点線部の拡大写真ですが、はっきりと爪が3つ見えていますね。その先をよく見ると、尖ったままになっています。もし、これを何かに使っていたら、先が摩耗するはずです。それが全然すり減っていないということは、全く使われていなかった、ということを証拠立てています。そんなわけで、退化する前足だったわけです。

爪が摩耗していないという点では、後ろ足も同じようなことが言えます。写真3が全体写真で、左端が尾っぽの骨です。その両脇に刷毛で掃いたような薄い羽根がよく見えています。この足の拡大写真が写真4です。これも爪の先が摩耗していません。つまり、後ろ足を使って木をよじ登ったりしていなかったのだろう、と考えられています。そんなわけで、木によじ登って低い枝から滑空したのではないか、という可能性は低いと言われています。

また、鳥の足4本のうち、向かって左側が人間の親指のようなものにあたるのですが、それが他の3本と同じような方向に生えています。これだと木の枝を掴みにくいのです。私も試してみましたが、親指を使わないで4本の指で枝を掴むのは非常に難しいです。人間は枝を掴むときに、親指と人差し指で掴みますが、そういうような指の向きになっていなかったので、枝を掴めなかったのだろう、という点からも木の上から滑空しただろうという説が否定されているようです。

さて、この時代(今から25000年くらい前)には恐竜もいましたが、トンボもいました。写真5は、そのうちの大きなトンボで、羽根の長さが1メートルもあったと言われています。とても想像できないような大きさですね。それが写真5の上の方に写っているトンボです。その同時代の化石を、私は始祖鳥の化石のレプリカを買ったときに同時に買うことができました。それが写真6です。これはレプリカではなく、同時代、同地域の本物のトンボの化石です。これは5センチほどの大きさの、現在のトンボに似ています。価格は約5万円でした。25000年前の恐竜と同時代にいたトンボの化石がそのくらいの値段に買えるんだな、ということも勉強になりました。

さて、これで3回にわたる始祖鳥のコラムを終わりにします。

09/9/24

<出典>
「化石と岩石・鉱物 小学館の学習百科図鑑(29)」
立見 辰雄 浜田 隆士


(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)

 

写真1
写真1

写真1
写真2

写真1
写真3 

写真3
写真4

写真3
写真5

写真3
写真6











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