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第64号 「カルダーのモービル」

「モービル」という言葉や、その実物を見たことのある方、かなりいますよね。

写真1がそれですね。これはワシントンのナショナルGAで撮ったものですが、その大きさを下にいる人と比べてみてください。その場の空気の流れによって、予測不可能なように、ゆったりと動いてくれて、気持ちが落ち着きますね。これはアレキサンダー カルダーという彫刻家の作品なのです。

これの大きなものは、実は新しい美術館をつくると、これを目玉に飾りたくて、とても人気のある作品なのです。小さなもの、直径約50cmくらいで3千万円しますね。だから美術館に飾るものは、1億円以上は軽くします。そこでやっかいなのはにせものがあるということです。美術館がにせものを飾っては格好悪いので、担当の人も大変ですね。

カルダーという人はアメリカ人なのですが、作家としてはパリとNYを中心に活動した人です。彼が名を出したのは、針金細工でサーカスの一団をつくり、それを実演したことです。写真2がそれですね。これの実物はN.Yのホイットニー美術館にいつも飾ってあって、私も何回か見ました。

この実演(カルダーが音楽をかけて、手で操る)をパリでやっていると、大変な評判になり、すぐにコクトーやピカソ、ミロ、デュシャン等が見にきて、彼らと友人になり、作家として一流の地位を築いてしまったのです。カルダー自身も彼らから影響を受け、例えばモービルは三原色しか使っていませんが、これはモンドリアン(三原色を使って描いた絵。写真3はその典型的な作品です)の影響といわれています。当時のモンドリアンの家の中はすべて三原色で塗られていたそうです。

また、カルダーは細金ジュエリーも有名で、世界各地でそれだけの展示会が催されました。日本では西武デパートが開催しました。それらの作品と彼の生涯を書いた、すばらしい本が「calder intime」という写真4の本です。何回見ても見飽きない、みなさんも古本屋で探すと、宝物のようになる本です。

次回は、この本から彼のジュエリーを紹介したいと思います。

09/5/25

引用文献:Daniel marchesseau(著) Solange Thierry(編集)
        La Bibliotheque des Arts (出版社)





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写真1
写真1

写真1
写真2 

写真3
写真3

写真3
写真4







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