今回は、前回とりあげた中場さんの息子さん、素(もと)さんの仕事を見せたい。その実物は写真1だ。これから先を読む前に、一体、どうやってこれをつくったのか想像してもらいたい。特にこの細い糸のようなものはどうやったのかだ。
その答えが写真2だ。右側にみえている道具はグリューガン(grew:接着剤のこと。ガンは溶けた接着剤を糸のように押し出す銃という意味)と呼ばれる。写真3、4もアリをつくるところをデモしてもらっている。もう一度サイドからの写真5を見て欲しい。糸のようにグリューをひいているのがわかるだろう。このガイコツの頭部分はやはりグリューガンで作った塊で、これを各パーツ、別々につくって組み立て、最後のデリケートな細線をグリューでひっぱりながらつくっていく。
彼のお父さん、あれだけ器用な中場信次さんでも、息子さんのつくるこの作品は「自分ではできないよ〜」といっている。その息子さんが写真6だ。グリューガンでこういう作品を作るのは、おそらく世界でも彼一人だろう。
ところで、そのお父さんの小品1点を紹介しておきたい。写真7は指輪、前にも紹介した鉄線でフレームをつくり、その上部の枠に下から淡水真珠、水晶玉、ワニの子の剥製の手、そして上部は実物のキノコを着色してつけてある。裏から見たのが写真8だがこの3点がピンでさしてあるところを見てほしい。つまり、着ける人のチョイスで何にでも変えられるのだ。この鉄線で作られたしっかりした形とそのつくりにも惚れぼれしてしまう。
この4点、パール、水晶、ワニの手、キノコの絶妙な、なんともいえない組み合わせも味わって欲しい。
09/4/25
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