今月は、中場信次氏を紹介しよう。
彼が隔絶して優れた作家であることをこれからお話していきたい。
昨年の12月に本校のギャラリー「結」で彼の作品展が開催された。
彼は、1週間の会期中、朝の10時から7時まで奥様とご一緒にずっと学校にいらしていた。住まいが神奈川県の大和なので渋谷まで通うとなるとかなり大変であるが、「見に来るお客様のため」といって毎日学校まで足を運んでらっしゃった。
もちろん本校の学生たちも見学した。ギャラリーに入ってきた時はみな「ドヤドヤ」とにぎやかであった。しかし30分、長い学生は1時間、彼の作品を見るとみなおとなしくなり、「シュン」となって静かにギャラリーから出て行くのである。自分の力と余りの差に打ちひしがれてしまうのだ。
ここからは作品を紹介していこう。
まず写真1を見て欲しい。
これは学校の職員室に飾ってある木製のケースで、中に白いカメオのブローチが3つ入っている。こんな荒削りのケースにカメオを入れてしまうのも、彼の感覚によるものなのだ。
次に中のカメオを1点づつ見てみよう。
写真2のカメオは彼の好きなギリシャ・ローマ時代の石造建築の装飾からとっている。カメオのモチーフにこういったものを使用するのも彼しかいない。
写真3のカメオは一見オーソドックスなカメオのように見えるが、貝の突起を絶妙に生かした彫りとなっている。カメオに使う巻貝は写真4のように所々に突起がある。この突起に合わせて顔を彫刻しているのだ。貝の自然な形に人間の手と精神が加わり、こういった作品を作り上げる事が出来るのである。
写真5はエンジェルがモチーフとなっている。私もエンジェルのカメオは数多く見てきたが、これだけほれぼれするようなデリケートな彫りのものは見た事がない。
(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)
08/04/24
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