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第45号 「カールフリッチの世界(前編)」

今回は最近出版されたドイツのジュエリー作家、カールフリッチの本について紹介したい。
こんなにも分厚い本であるが、大きさだけでなく内容も驚きの連続で面白いものになっている(写真1)。その中から何点か紹介したい。

まず目を引いたのはジュエリーの本なのに「うなぎの蒲焼の作り方」が日本語で書いてあるページだ(写真2)。しかもすぐ右隣のページにはルビーやエメラルドをちりばめたブローチが映っており、カールらしい破天荒な内容となっている(写真3)。

この本では世界のカールの仲間達が各々の言語で書いた紹介文も掲載されており、私も日本語で文を寄せた。写真4で私が着ているシャツのシルエットは、本校のパーティーでカールがダンボールを切り抜き、スプレーして写し取った物だ。そういったページもありとても嬉しいのだが、私が書いた『世界のジュエリーアーティスト』の中でもこのシャツの事を取り上げているので是非お読み頂きたい。

次の作品にもとても驚かされた(写真5)。
丸い球の上にサファイヤのようなブルーの石がおいてあるが、実はスピネル(※)である。そしてこの下の半透明の球は「人造真珠」である。
人造真珠というのは半透明のプラスチックの球に太刀魚などの魚の鱗から作られたパールエッセンスを塗って作るイミテーションパールの事だ。真珠からスピネルが薄く透けて見えているが、これにスピネルを埋め込んでしまっているからである。こんなこと誰も考えられないすごい指輪である。


※スピネル:アルミニウムとマグネシウムからなる鉱物。色や成分が似ていることから長い間「ルビー」と混同されていた。レッドスピネルの他に青やラベンダー、ピンクのものが多く採取される。

(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)

水野孝彦著『世界のジュエリーアーティスト』上・下巻 
美術出版社より(上下巻各3800円)一般書店にて好評発売中
ご意見・ご感想がございましたら
E-mail(hiko-j-art@jewelry.ac.jp)までお寄せ下さい。
お待ちしております。


07/07/19

 

写真1
写真1

写真2
写真2 

写真3
写真3

写真4
写真4

写真5
写真5


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