今回はベルンハント・ショービンガー氏のブレスレットを紹介しようと思う。彼は世界各国の有名ミュージアムで展示会を開催する、現代ジュエリーアーティストの第一人者である。
まず写真1を見てほしいのだが、これは1987年に発表した3種の金属を使ったブレスレットだ。3種とは銀、銅、チタンだが、子供がそれぞれの金属を切り抜いたような豪快さである。このように金属の切り口を大胆に見せて迫力をつくるというところが、彼の得意とするところなのだ。
裏を見てみよう(写真2)。3つの金属を銀の帯でつないでいる。そして一枚一枚の金属板の強度を持たせるために、銀の細かい地金で補強板を入れてある。そのロー付け(溶接)の仕方も大胆だ。
ここまで書いて、もしかしたらショービンガーはこの裏を見せたかったのではないかと思ったが、やはりそうだった。写真3は彼の娘さんだが、このブレスレットの付け方が彼の意志をあらわしている。
見ているだけで、金属から出てくるパワーや迫力を感じることができ、私などはぞくぞくする程好きなのだが、やはり一般的なジュエリーしか知らない人にはこの作品のすごさは伝わらなかった。
ショービンガーの作品を味わうのには、ある程度の年齢や美術素養も必要なのかなと思ったものだ。
(写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます)
07/01/22
|