話をロダンに戻すと、結局多くの支持者の後援もあって、ロダンの亡くなった一年後、国立ロダン美術館となり、多くの作品がここに展示されている。場所はパリ市内のアンヴァリッドの近く、オルセー美術館より歩いて15分位だ。
建物もさることながら庭がすばらしく、植物とロダンの作品がマッチして、なかなか見応えがある(写真2〜4)。
写真2は建物の窓から庭を撮ったものだ。ロダンもこうして眺めていたろう。写真3では中央、木の間から「考える人」が見える。写真4は地獄門だ。
夏休みなどは入るまでに一時間以上並ばなくてはならないが、庭はいつでも自由に入ることができる。また、パリのミュージアムパスを持っていると並ばなくても入れる。このパスはかなり有効で、ルーブルですら並ばずに入れてしまう。そうでないと、夏は一時間以上は並ぶ覚悟が必要だ。
作品は6600点、デッサンも7000点あるが、ロダンが晩年過ごしたアトリエの雰囲気もあり、そこで作品を見られるうれしさもある。私みたいに彫刻をつくったこともない人間は、人間の黒目は白目と同一平面にあるのに、立体をつくる粘土ではどう表現しているのかな、と思ってそういうところばかり見てしまう(写真5)。作品を見ていると、私たちには全く違和感なく受けとることができ、むしろ古典的とも思えるのだが、当時はあまりに革新的で、保守派に受け入れられなかったと聞くと(そのため美術館設立が遅れたと聞く)ビックリし、いつの時代も同じだなと思わされる。ショップでは作品の模刻の手や頭部がよくつくられていて、販売されている。
その中の一つが写真6だ。これはロダンの名作「カレーの市民」の人物像の一人、ヴィッサンという名の彫像の頭部だけを複製したものだ。高さ約7cm、現在いつも机の上に置いてながめている。こうやると飽きる作品もあるのだが、これは優れたもので4ヶ月経った今も飽きない。