まずは写真1を見てください。このリングの中石(「なかいし」と読みます)は、パーティーカラードアメジスト(以前はバンドアメジストと呼ばれていました)で、そのまわりは小さなヘマタイトを散りばめた銀台です。石の留め方も細くてかわいいですね。
さてここで注目してもらいたいのは 、この中石です。2月の誕生石として一般的な紫一色のアメジストではなく、白い石英と紫石英が層をなしているのがおわかりになりますか?
その最もわかりやすい例が写真2の石です。
また、この白い層の部分が写真3のように黄色くなっている石もあります。これをアメトリンと呼びます。アメジストとシトリンの両方が入っているからですね。
実は写真1レベルの石だと、現在では採れたとしても商品にはならず、捨てられてしまうレベルの石なのです。しかしこの指輪がつくられた1800年代の英国では、一般的なレベルの指輪だと思われます。以前、パリのルーブル美術館にエジプト王朝のエメラルドネックレスが飾ってありましたが、今だったら鉱物見本でしか扱われないような低いレベルのエメラルドが使用されていました。「これが王族を飾っていたなんて」と、ビックリした事があります。
このように、石を見るだけでもその時代を見てとる事ができます。白いシャツを着られるのが、シャツを洗う召使がいる貴族だけだった貧しい時代。このレベルの指輪でも十分貴重な宝飾品だったんですね。
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04/5/6 |