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第93号 森本君の想造昆虫 T
今回は、みんなの先輩、森本浩司君の話をしよう。

彼は、2006年3月に本校を卒業している。小さい時から細かいものをつくるのが好きで、しかも想像上の世界をつくりあげるような子だったそうだ。大人になってのそのひとつの表れが2011年につくった想造昆虫王国だ。

今、彼がつくる昆虫は、例えばカブトムシ類だが、パッと見ると本物の昆虫標本に見える。それだけ本物そっくりにつくってあるのだ。しかし、顔の部分を見てみると羊の頭がついているので、人工でつくったものだとわかる。その様子を写真1で見て欲しい(写真は拡大して記事と合わせて読んで下さい)。

第93号 森本君の想造昆虫 T
<写真1>
彼の腕のすごさを見せたいので、細部を見てみよう。

まず胴体だが(写真2、実寸は縦5cm)これはまず原型をスカルピーというオーブン粘土でつくり、これからシリコンで雌型をとり、そこにレジンを流して固める。着色はスプレーと筆塗りで行われる。その後、粉末の塗料でマット仕上げとし、昆虫の腹の実感を出している。写真2の脚の部分は、まず折り紙と塗料で原型をつくり、シリコンで型をとった後、雌型の部分にレジンを流し込んでつくる。
爪部は紙とティッシュでこよりを作り、それを接着剤などで固めて1つひとつ作っている。あまりにリアルにつくられているため、昆虫が苦手な人には、見ていて気分が悪くなるので長くは見ていられないという人もいるほどだ。

第93号 森本君の想造昆虫 T
<写真2>
彼のすごいところは、こういう細部が信じられないほど精巧につくられているだけではないのだ。これらの昆虫を何体もつくり、それらすべてを想造昆虫として一冊の本にまとめ上げている点だ(写真3)。

中の文章を短く紹介しよう。

『その昆虫の住む惑星の大気は窒素78%、酸素21%とし、半径や自転周期(1日の長さ)や地軸の傾きも決めている。星の名はルシエナ。
大陸は5つあり、28の国に分かれている。』

その地区ごとの特長も、森が多いとか砂漠地帯であるなど、細かく書かれている。そのページが写真4だ。 それぞれの地帯に住む、さまざまな昆虫をつくりあげている。

例えば、写真1に出たものは、『マキヅノカミキリ』と命名されている。他にも彼は自分のつくった昆虫を森に持ち出し、木に止まらせて、あたかも実在の昆虫のように写真を撮っている(写真5)。その生態写真や特長を述べているページが4ページ分もある。写真6はその中の1ページだ。

第93号 森本君の想造昆虫 T
<写真3>
第93号 森本君の想造昆虫 T
<写真4>

第93号 森本君の想造昆虫 T
<写真5>
第93号 森本君の想造昆虫 T
<写真6>

12/1/31

(写真をクリックして拡大してみてください。)

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